コラム
2023年05月16日

樹脂筐体の世界:種類とその特性

専門分野ではありませんが、樹脂筐体を良く使うためある程度の知識はあります。筐体(ケース)に使われる樹脂の種類と特徴を簡単にまとめました。

樹脂筐体は、電子機器や機械部品など、さまざまな製品の保護や形状を保つために広く使用されています。種類豊富な樹脂材料が存在し、それぞれが独自の特性と利点を持つため、適切な選択が製品の性能や耐久性に大きな影響を及ぼします。

ABS樹脂
ABS樹脂は、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンの三つのモノマーから成る熱可塑性樹脂で、その優れた成形性と高い衝撃強度から、様々な産業で幅広く用いられています。自動車部品、玩具、家電製品の筐体など、多様な製品にABS樹脂は使用されています。

ポリカーボネート
ポリカーボネートは、透明性と衝撃強度を兼ね備えた熱可塑性樹脂で、その耐候性と難燃性も評価されています。これらの特性から、ポリカーボネートは眼鏡レンズや自動車のヘッドライトカバー、保護ヘルメットなどに用いられます。

ポリエチレン
ポリエチレンは、化学耐性と電気絶縁性に優れ、且つ低コストで製造可能な熱可塑性樹脂です。これらの特性から、包装材料、電気絶縁材、パイプ、タンクなどに広く使用されています。

ポリプロピレン
ポリプロピレンは、化学耐性、耐熱性、電気絶縁性に優れ、また軽量でありながら強度が高いことが特徴の熱可塑性樹脂です。自動車部品、容器、包装材、電線の絶縁体などに利用されます。

 

材料としては上記の他に様々なものがありますが、代表的なものとしてあげさせていただきました。

選び方のポイント
これらの樹脂材料を選ぶ際のポイントは、製品の使用環境と要件によります。例えば、高温環境下で使用する製品には、耐熱性に優れたポリプロピレンが適しています。逆に、衝撃や振動が頻繁に発生する環境では、衝撃強度の高いABS樹脂やポリカーボネートが適しています。

また、製品の見た目も重要な要素となる場合もあります。例えば、透明な筐体が必要な場合には、ポリカーボネートが最適な選択となります。さらに、製品の価格も重要な要素であり、低コストで製造が可能なポリエチレンは、製品コストを抑えるための選択肢となり得ます。

さらに、樹脂材料の選択は、製品の製造方法にも影響します。例えば、注射成形や押出し成形、ブロー成形などの方法がありますが、これらの方法は樹脂の種類によって適用可能かどうかが変わります。したがって、製造方法と樹脂材料は密接に関連しています。

樹脂筐体の選択は、製品の要件、製造コスト、製造方法など、多くの要素を考慮する必要があります。そのため、樹脂材料の特性と用途を理解し、製品の要件に基づいて適切な選択をすることが重要です。

樹脂筐体の選択は、製品の性能や品質、コスト削減などに大きく影響を与えます。適切な樹脂材料の選択により、製品の競争力を高め、消費者の期待に応えることができます。このように、樹脂筐体は製品開発の重要な要素であり、その選択は製品の成功に直結しています。