2023年10月13日

産業機器開発の難しさ

産業機器の開発において、民生機器と違った独特の難しさや課題が存在します。以下に、産業機器開発の難しさをいくつか挙げてみたいと思います。

 

高度な専門知識の必要性:

産業機器は専門的な用途で使用されるため、開発には高度な技術や専門知識が要求されます。参入している機器メーカーはその分野に特化した技術を持つメーカーが多く、新たに参入する場合でも、その分野に詳しい人材がチーム・組織にいる必要があります。新規参入のハードルはかなり高いことが多いです。

 

長期の耐久性と信頼性:

産業機器は多くの場合、長時間連続して使用されることが前提となるため、その耐久性や信頼性の確保が非常に重要です。納入前に客先での事前検証を行うこともあり、その際に多くの評価資料や認証試験結果の通知を求められえることもあります。また、製品の製造期間も長く要求されることがあるため、使用する部品もそれにあった長期供給可能なものであることが必要となります。

 

カスタマイズの要求:

顧客のニーズに合わせてカスタマイズを要求されることが多いです。これは、一つの基本モデルにさまざまな変更や追加を行うことを意味します。開発の複雑さを増加させますが、他社と差別化がはかられ、長期的に安定して市場シェアをとれる可能性が高いというメリットもあります。

 

安全基準への配慮:

産業機器は作業者の安全を確保するため、各国の安全基準や規格を満たす必要があります。民生機器の方が安全性の側面から基準が高いことが多いですが、産業機器は同様の基準を要求されることもあり、さらにプラスでユーザー独自の基準を求められることがあります。必要な認証試験や考えられる安全面の配慮を十分に実施しておく必要があります。

 

開発コストと製造イニシャル:

産業機器は高価な部品や材料を使用することが多く、また開発設備も特殊なことがあるため、開発の初期投資が大きくなりがちです。生産面では、小ロットの製造となることが多く、また特殊な技術が必要となる場合もあるため、自動化せずに人の手による組立製造になることが考えられます。そのため、生産技術的な面では、手順のみ明確にしておけば設備費用を抑えることが出来ますが、その分製造人員に高い技術レベルが求められると言う難しさがあります。

 

限定された市場:

産業機器のターゲット市場は限定されていることが多く、大量生産によるコスト削減が難しい場合があります。競合が少ない市場ですが、その分参入してる企業が持っているシェアは大きいです。

 

高い保守・サポートの要求:

産業機器は導入後も長期間にわたり、適切な保守やサポートが必要とされます。これは、長期にわたる顧客サポート体制の構築を必要とします。また、特別な対応を求めれることも多く、万全の体制を備えておく必要があります。

 

 

これらの難しさを考慮しながら、産業機器の開発を進めるには、深い市場理解、技術的な専門知識、そして顧客との密接なコミュニケーションが不可欠です。市場は小さいですが、その分シェアがとれた時のメリットは大きいです。