コラム
2024年10月09日

OEMとは その概要とメリット・デメリット

 OEMとは

**OEMOriginal Equipment Manufacturer**は、日本語で「相手先ブランド製造」とも訳されるビジネスモデルです。企業が自社で開発・製造した製品を、他社が自社ブランドとして販売する仕組みを指します。例えば、あるメーカーが製造したパソコンのパーツを、別のブランドが組み立てて販売するケースが典型的です。消費者の目には製品が特定のブランドとして映りますが、実際にはそのブランドが製造したわけではなく、OEM企業の手によって作られたものです。

 OEMの仕組み

OEMの仕組みを理解するには、製造と販売の役割分担が鍵になります。OEM企業は製品の製造を専門に行い、その製品に対して販売元企業が自社ブランドを付けて市場に流通させます。製造のプロであるOEM企業が品質を管理し、販売企業はマーケティングや販売チャネルの構築に注力することで、両者にとって効率的な関係が築かれます。

 OEMのメリット

  1. コスト削減
    • 製造設備や開発費用を自社で負担する必要がなくなるため、販売企業は初期投資を大幅に抑えることができます。これにより、リソースを他の事業分野に投入することが可能になり、ビジネスの展開がスムーズに進むのが大きなメリットです。
  2. 市場投入のスピード
    • 製品を外部の専門メーカーに任せることで、製造にかかる時間を短縮し、早く市場に製品を投入できます。これは、特に技術革新が進む業界での競争力強化に繋がります。販売企業はOEMを活用することで、新しいトレンドに迅速に対応できるのです。
  3. 品質の安定
    • 高い製造技術を持つOEM企業に委託することで、製品の品質が安定しやすくなります。自社で製造する場合に比べて、製品ごとの品質ばらつきを抑えることができ、販売企業にとって信頼性の高い商品を提供しやすくなります。

OEMのデメリット

  1. ブランドの独自性が薄れるリスク
    • 他社製造の製品に自社のブランドを付けて販売するため、製品の独自性をアピールしにくくなります。同じOEM企業から他社も調達する場合、自社製品と競合他社製品の差別化が困難になることが課題です。
  2. 製造プロセスへのコントロールが限られる
    • OEM企業に製造を委託することで、販売企業は製造工程に直接関与できなくなります。そのため、製造段階でのトラブルや品質問題が発生した場合、迅速な対応が難しく、結果として自社のブランドイメージが悪影響を受ける可能性があります。
  3. 技術力の蓄積が難しい
    • 製品の製造を外部企業に任せることで、販売企業の中で技術力が蓄積されにくくなります。自社開発や独自技術により競争優位を築くことが難しくなるため、長期的には自社の技術的な競争力に影響を及ぼすリスクがあります。

 

  OEMは、販売企業にとって製造コストの削減や迅速な市場投入を可能にする一方で、ブランドの独自性や製造プロセスの管理においては課題が伴います。製品の開発を自社で行うか、それとも外部に委託するかは、企業の戦略や市場のニーズに基づいて慎重に判断する必要があります。適切に活用することで、OEMは企業にとって大きな成長の手助けとなり得ますが、リスクを理解した上での戦略的な運用が求められると言えるでしょう。