コラム
2023年06月09日

新規事業では民生向けより産業向け製品がおすすめ

 私たちが目を向けるべき場所は、家庭の中だけではありません。企業、工場、産業施設などの中にも、新たな可能性が広がっています。それは、産業向け製品の世界です。これまで多くの開発者が目指してきた民生向け製品と比べて、産業向け製品の開発はいくつかの有利な点を持っています。

 まず、産業用製品には専門性が求められます。一般的に、産業用製品は特定のニーズを満たすために設計され、それらのニーズを理解しているユーザーによって使用されます。したがって、一般消費者の製品と比較して、専門性が高く、サポート体制に大きな負荷がかからないというメリットがあります。産業用製品の場合、不特定多数のユーザーからの問い合わせを処理する必要がなく、それによりサポートリソースを効率的に使うことが可能になります。

次に、産業用製品は一度売れ始めると、安定的に売れ続ける傾向があります。これは、企業が投資を決定する際には、製品が長期間にわたって信頼性と性能を保証することを重視するからです。また、産業用製品は製品の販売寿命が長いという特徴を持っています。消費者製品が追求する短期的なトレンドや流行に左右されにくく、そのために製品ライフサイクルが長くなります。

さらに、産業用製品の市場では競合が少なく、価格競争も民生用製品に比べて少ない傾向があります。これは、専門知識を必要とする特定の産業に特化した製品が多いためで、一般的な消費者向け製品と比べて競合が少ないのです。

 

しかし、産業用製品の開発にはデメリットもあります。その一つが、開発に必要な専門知識の高さです。産業用製品は特定の用途やニーズに合わせて設計されるため、そのニーズを理解し、適切な製品を設計開発するためには、専門的な知識や技術が必要となります。これは、開発の敷居を高くする要因ともなり得ます。

さらに、市場サイズが小さいため、大量生産によるコスト削減を期待するのが難しい点も挙げられます。また、導入後のトラブルが生じた場合、その影響は大きなビジネス機会の損失につながるため、より高い品質と信頼性が求められます。

また、民生用製品と比較して、産業用製品の売り込みは難しいとされます。多くの場合、直接的なB2Bの営業活動が必要となり、高額な製品が多いため、販売サイクルは長く、販売に成功するまでに時間とコストがかかります。

 

 それでも、これらの課題を克服することができれば、産業用製品は非常に有望なビジネスチャンスとなります。産業用製品の開発は、多様な専門知識と技術、そして創造性を必要とします。それは、製品が解決すべき具体的な問題を理解し、その問題に対する効果的な解決策を設計し、そしてその解決策を実現するための技術を持っていることを意味します。

 起業または独立し、自ら製品を作ろうと考えている方は、前職の流れで事業をする方が多いと思います。そのような流れでオリジナル製品を作ろうと考える場合、販売先や技術はある程度前職からの流れで担保出来、専門知識や品質面の注意点もある程度把握しているので、産業用の製品としての取り組みもやりやすいのではと思います。

 

産業用製品の開発は、私たちが世界を改善するための新たな舞台となり得ます。それは、特定の産業やビジネスが直面する問題を解決し、その結果として全体の生産性や効率を高め、社会全体の発展に貢献する可能性を秘めています。民生用製品と比較して敷居が高いと感じるかもしれませんが、その裏には大きな可能性があります。