コラム
2023年10月03日

部品輸入の失敗とその教訓:海外取引の注意点

「安さ」は魅力です。

特にビジネスにおいて、コスト削減のアプローチは必須で、私もその魅力に取り憑かています。最近の一件で、安さの裏側に隠れたリスクを痛感し、その経験と教訓を共有したいと思います。

 

私が探していたのは樹脂部品のメーカーでした。いくつか問い合わせした中で海外企業もあったため、その企業も検討に入っていました。

その海外企業での部品製造は、国内生産の部品と比べて驚くほどの低価格で提供できるとのこと。そして、それが単なる価格差で終わらないことも明らかで、金型の必要がなく、イニシャルコストも掛からない。サンプルを取り寄せてみると、その出来は国内製のものと比べても優れたもので驚きました。

 

まるで宝を見つけたかのような興奮でした。

 

早速、最初のロットの製造を頼んで、待つこと数週間。船便で横浜に到着したとの連絡を受けたがそこからが長かった。。

ちょっとした地獄のはじまりでした。

まず最初にわかったことは税関の申告はこちらで手配が必要だということ。輸入先の受入業者がやってくれるわけではなく、別料金とのことでした。さらに私の部品が全数検査の対象となりそれに伴う費用が発生しました。また、国内輸送の際にフォークリフトが必要となるほどの重さになるとのこと。小分けされた箱であれば、良くある宅急便で輸送が可能ですが、今回はパレットに梱包されており、パワーゲート車のチャーターを余儀なくされました。

その準備の期間、倉庫の保管料もかかります。

これらの事実は、私が計画していたコストとは大きくかけ離れていきました。

それでも、部品が素晴らしい出来であるという期待があって早く入手したいため、どんどんと費用をかけてしまいました。
結局、予定していた1000円の単価が、輸入に伴うさまざまな費用で2500円まで跳ね上がることになってしまいました、。幸い、物品はサンプル同様素晴らしい出来映えでした。

今思えば、私の失敗は輸入のプロセスを甘く見ていたことに尽きます。前職では、海外からの部品輸入は専門のロジスティクスパートナーがすべてを担当しており、私たちは部品の品質や納期だけを気にしてました。しかし、今回のような新規の取引で、それらのサポートがない状態での輸入は、予想以上に複雑であることを実感しました。

 

この経験から学んだ教訓は、価格だけで取引先を選ぶのではなく、輸入の全体的なプロセスを熟知しておくことが重要性と言うことです。私はこの失敗を通して身をもって感じました。

今後は、海外取引においても、全体的なコストやリスクをしっかりと把握し、真のコスト削減を目指していきたいと思います。

安さの魅力に取り憑かれる前に、一歩引いて全体像を見ることの大切さを、この経験が私に教えてくれました。